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生成AIで進化する理科教育-導入から実践までの完全ガイド-

中村 大輝/編著


読者対象:小学校教員・中学校教員

出版年月:

ページ数:144

理科授業に使える生成AIガイド、ついに誕生!

本書の概要

「生成AIは理科授業に必要なの?」「そもそも自分が使いこなせていないんだけど」そんな先生にこそ読んでもらいたい、理科教育に特化した生成AI活用ガイド。教師の業務効率化だけではない、生成AIが教育にもたらす真の効果とは? 理科授業における豊富な具体例を通して、理科の問題解決や探究を深める生成AIの活用法を提案する一冊。

本書からわかること

生成AIを使用する上での3つの原則
ChatGPTをはじめとする生成AIの技術が急速に進化する中、学校教育にはどのように活用できるのかという議論も活発になっています。どんな質問を投げかけても瞬時に答えを出す驚異的能力を持つ生成AIですが、その内部で行われている処理は、簡単に言うと、「次の単語を予測する」という処理の繰り返し。与えられた文章に続く単語を大量のデータの中から予測し、もっともらしい文章を作成するのが生成AIの仕組みです。したがって、生成AIを使用する上では、次の3つの原則を守る必要があります。
本書では、生成AIを教室に導入する際の準備や基本的なルールの設定についても丁寧に解説しています。

  • 原則1 「誤った回答にだまされない」
  • 原則2 「使用上のルールを設定する」
  • 原則3 「人間の役割を自覚する」

生成AIを活用して理科の資質・能力を育成
あくまでツールとして、人間が責任を持って使用することで、生成AIは最大限の効果を発揮します。理科授業に即して考えると、例えば以下のような使い方が挙げられます。

  • ・観察の場面で、植物の写真と自分のスケッチを生成AIに与えて、よく表せている部分と表せていない部分を尋ねることで、スケッチの技能向上につながる視点を得る。
  • ・仮説設定の場面で、生成AIが変数、原因、結果、因果関係を順番に質問するように設定することで、ステップバイステップで仮説設定の支援を受ける。
  • ・実験計画の立案の場面で、実験計画を生成AIに入力し、条件制御が適切か、計画に問題点がないかを尋ねることで、改善のためのフィードバックを得る。
  • ・考察の場面で、考察の文章を生成AIに入力し、主張・証拠・理由付けなどの要素が含まれているか尋ねることで、考察の質を高めるためのフィードバックを得る。

問題解決や探究の過程における豊富な活用例を掲載
本書では、理科の問題解決や科学的な探究の過程に沿って、様々な場面におけるプロンプトの作成、生成AIとの対話などを、豊富な事例を通して紹介しています。例えば、以下の対話は、問題事象の原因や結果となる変数が整理される様子です。

生成AIとの対話を通して、学びを自己調整
これからの学びでは、生成AIは自分の思考のどの部分をサポートできるか、どのように活用すればよいかを子供自身が理解していくことが求められます。生成AIの回答には限界や偏りがあるため、批判的思考を働かせる必要もあるでしょう。さらに、生成AIとの対話を通して、自分の学びに対してメタ認知を働かせ、自己調整を行うことが期待できます。例えば、自分の仮説の妥当性を見直したり、目標の達成状況を振り返ったり、つまずいたときに学習の進め方を検討したりするなどの場面で、生成AIが役立つと考えられます。

目次
はじめに

序章

第1章 生成AIがもたらす理科教育の変革
 第1節 生成AI×理科教育が生み出す新たな可能性
 第2節 生成AIを活用して理科の資質・能力を育成する
 第3節 理科学習における生成AIの役割

第2章 生成AIを教室へ導入する第一歩
 第1節 生成AIを導入する準備
 第2節 生成AIの使用ルールを決めよう
 第3節 どんな機能があるか体験してみよう
 第4節 生成AIの性質を考えよう

第3章 生成AIを取り入れた理科授業
 第1節 比較を通して問題を見いだす
 第2節 変数を整理して仮説を設定する
 第3節 実験計画が適切か評価する
 第4節 観察の質を高める
 第5節 結果を可視化する
 第6節 考察の妥当性を高める
 第7節 生成AIによるフィードバックを活用する
 第8節 理解度を評価する
 第9節 批判的思考を働かせる
 第10節 主体的に学習に取り組む
 第11節 対話を通して学習を深める
 第12節 学習意欲を高める
 第13節 新たな課題を設定する

コラム 理科学習における直接体験の重要性

第4章 生成AI時代の理科教育:未来への展望
 第1節 生成AI技術の発展と理科教育への影響 
 第2節 教員の専門性開発
 第3節 AIリテラシーの育成
 第4節 生成AI時代における理科教育のあり方

おわりに

付録  参考・引用文献リスト
   生成AIサービス一覧
   生成AI用語集
著者プロフィール
中村 大輝 
宮崎大学教育学部講師
1992年東京都生まれ。東京都の公立小学校教員を経て、広島大学大学院で学んだ後、2023年度より現職。2022年広島大学大学院教育学研究科博士課程後期修了。専門は科学教育、理科教育、教育心理学。特に科学的探究を通した思考力の育成、現代的な教育測定法の開発などの研究に取り組んでいる。国立教育政策研究所PISA2025年調査の問題検討委員などを務める。