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主体的に学習に取り組む態度ーその育成と学習評価ー

田中 保樹・三藤 敏樹・髙木 展郎/著


読者対象:小学校教員・中学校教員・高等学校教員

出版年月:

ページ数:240

「主体的に学習に取り組む態度」の評価を徹底解説!

本書の概要

「知識・技能」「思考・判断・表現」「主体的に学習に取り組む態度」の3観点で整理された観点別学習状況の評価。特に「主体的に学習に取り組む態度」の評価に悩んでいる先生は多いのではないでしょうか。大切なのは、資質・能力を育成するための評価であること。「評価のための評価」に陥らないことです。本書は、「主体的に学習に取り組む態度」の評価について考えることを通して、「指導と評価の一体化」を真に実現させるための評価の在り方、各教科等の方策をまとめた全教師必読の一冊です。

本書からわかること

「粘り強さ」と「自己調整」

「児童生徒の学習評価の在り方について(報告)」(中央教育審議会、平成31年1月21日)では、「主体的に学習に取り組む態度」の評価において重視すべき2つの側面を示しています。
① 知識及び技能を獲得したり、思考力、判断力、表現力等を身に付けたりすることに向けた粘り強い取組を行おうとする側面
② ①の粘り強い取組を行う中で、自らの学習を調整しようとする側面
これらの評価に先立ち、「粘り強さ」と「自己調整」を子どもたちが発揮できるような授業をデザインすることが求められます。

3つの観点の関連を踏まえた評価

さらに注目したいのは、「知識及び技能を獲得したり、思考力、判断力、表現力等を身に付けたりすることに向けた」という記述です。つまり、「主体的に学習に取り組む態度」の評価が、これらの資質・能力と切り離した評価であってはならないということです。
「主体的に学習に取り組む態度」の観点だけを取り出して評価しようとすると、例えば挙手の回数など、形式的態度の評価に陥る危険性があるでしょう。「知識・技能」「思考・判断・表現」との関連を踏まえて、評価を行う必要があります。
毎回の授業で全ての観点を評価するのではなく、単元や題材のまとまりの中で、3つの観点の評価を適切に位置付けることが大切です。

EvaluationからAssessmentへ

評価というと、成績を付けたり、序列を付けたりするイメージがあるかもしれません。これからの評価には、Evaluation(値踏みする)からAssessment(支援する)への転換が求められています。評価を学習改善や指導改善に生かすことによって、バランスのとれた資質・能力の育成を図ることが大切です。
本書では、「主体的に学習に取り組む態度」の評価における基本的な考え方を徹底解説するとともに、各教科等における指導と評価の在り方、評価規準の作成のポイントなどをまとめています。教科の特性を理解しつつ、教育全体で何が求められているのかを概観することもできる一冊です。

目次
はじめに

特別寄稿 「主体的に学習に取り組む態度」の意義と期待すること
石田有記(文部科学省初等中等教育局教育課程課教育課程企画室長)

Ⅰ章 主体的に学習に取り組む態度の育成と学習評価
  1 学力の重要な要素としての主体的に学習に取り組む態度
  2 「主体的に学習に取り組む態度」の評価規準の作成に向けて
  3 各教科等における「主体的に学習に取り組む態度」の評価規準の作成
  4 いつ、どのように「主体的に学習に取り組む態度」の評価を行うか
  5 「主体的に学習に取り組む態度」の評価の方法
  6 学習評価のパラダイムシフト
  
Ⅱ章 主体的に学習に取り組む態度を育成し、評価する授業とは
  1 単元・題材を通した授業づくりの重要性
  2 授業における「主体的に学習に取り組む態度」の指導と評価
  3 児童生徒が「粘り強さ」を発揮する授業
  4 児童生徒が「自らの学習を調整する」授業
  5 資質・能力を育成するための「学びのプラン」の提案
  6 単元・題材の学習指導案と「学びのプラン」の具体―国語科を例として

Ⅲ章 授業づくりと主体的に学習に取り組む態度
  1 カリキュラム・マネジメントに位置付いた授業づくり
  2 主体的に学習に取り組む態度を育成する授業に向けて
  3 「主体的に学習に取り組む態度」を評価するための方策

Ⅳ章 主体的に学習に取り組む態度の育成と学習評価をめぐる課題
1 パフォーマンス評価において
2 「指導と評価の一体化」において
3 見通しと振り返りにおいて
4 〔知識及び技能〕の習得と「知識・技能」の評価において
5 〔思考力、判断力、表現力等〕の育成と「思考・判断・表現」の評価において
6 〔学びに向かう力、人間性等〕の涵養と「主体的に学習に取り組む態度」の評価において 
7 三つの観点と評定の関係において
8 高等学校において

Ⅴ章 各教科等における主体的に学習に取り組む態度の育成と学習評価
1 国語科
2 社会科
3 算数科、数学科
4 理科
5 生活科
6 音楽科、芸術科(音楽)
7 図画工作科、美術科、芸術科(美術)
8 体育科、保健体育科
9 技術・家庭科(技術分野)
10 家庭科、技術・家庭科(家庭分野)
11 外国語活動、外国語科
12 特別の教科 道徳
13 総合的な学習の時間、総合的な探究の時間
14 特別活動
15 特別支援教育

おわりに
著者プロフィール
田中 保樹 
学校法人北里研究所北里大学理学部准教授(教職課程センター)
1961年横浜市生まれ。横浜国立大学大学院修了(修士(教育学))。1985年から横浜市立中学校、横浜国立大学教育人間科学部附属横浜中学校で理科教員として勤務。2009年から横浜市教育委員会事務局指導主事、国立教育政策研究所学力調査官・教育課程調査官及び文部科学省教科調査官を経て、横浜市を早期退職。2018年から北里大学理学部准教授として、教職課程での教育、学習指導・学習評価や理科教育等に関する研究を推進。詳しくは北里大学研究者情報(researchmap)にて。

三藤 敏樹 
横浜市立菅田中学校副校長
1963年横浜市生まれ。國學院大學文学部文学科卒業、横浜国立大学大学院教育学研究科修了。横浜市立中学校教諭・主幹教諭、横浜市教育委員会事務局教職員育成課指導主事、横浜市立大学非常勤講師(兼務)等を経て、2021年から現職。公認心理師・学校心理士。
主な著書に『資質・能力を育成する学習評価―カリキュラム・マネジメントを通して―』(共編著、東洋館出版社2020)『資質・能力を育成する授業づくり―指導と評価の一体化を通して―』(共編著、東洋館出版社2021)『資質・能力を育成する授業づくりと学習評価 中学校国語―カリキュラム・マネジメントを通して―』(共著、東洋館出版社2021)がある。

髙木 展郎 
横浜国立大学名誉教授
1950年横浜市生まれ。横浜国立大学教育学部卒、兵庫教育大学大学院修了。国公立の中学校・高等学校教諭、福井大学、静岡大学を経て、横浜国立大学教授2016年3月退官。
主な著書に、『変わる学力 変える授業』(単著、三省堂 2015)『評価が変わる 授業を変える』(単著、三省堂 2019 )『資質・能力を育成する学習評価―カリキュラム・マネジメントを通して―』(共編著、東洋館出版社2020)『資質・能力を育成する授業づくり―指導と評価の一体化を通して―』(共編著、東洋館出版社2021)『資質・能力を育成する授業づくりと学習評価 中学校国語―カリキュラム・マネジメントを通して―』(共著、東洋館出版社2021)『高等学校国語 カリキュラム・マネジメントが機能する学習評価 観点別学習状況の評価を進めるために』(単著、三省堂2021)がある。