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教師をやめたくなる前に読む本

楠木 宏/著


読者対象:小学校教員

出版年月:

ページ数:168

無理しがちな先生に贈る 心と体を守るための予防策

本書の概要

仕事の多忙さや困難さから、心身のバランスを崩し、休職や辞職に追い込まれる教師は少なくありません。合理的な学級経営に定評のある楠木先生も、若い頃には休職を覚悟した時期がありました。そんな経験から実感したのは、日頃からの小さな心がけや予防が何より大切だということ。教師をやめたくはないけれど、「ちょっとしんどくなってきた」「気持ちが沈みがち…」そんな先生に贈りたい、教師が心と体を守りながら仕事を全うするためのヒントが詰まった一冊です。

本書からわかること

「学級崩壊」を未然に防ぐための小さな心がけ

「学級崩壊」は休職や辞職の一番大きな要因です。一度崩れたら立て直すのが難しいため、これこそ予防が大切。本書では、日常的な指導のポイントを多数紹介しています。例えば、物を雑に扱ったり、誰かの発表の途中で口を挟んだり…という子どもの行動を見かけたときに、見逃さずに注意します。それ自体は些細なことですが、周囲への思いやりに欠けた行動を放置しておくと危険因子になりかねません。また、真面目な子どもに報われない思いを抱かせてしまったり、教師自身が力のある子におもねったりするなど、公平さに欠ける指導も「学級崩壊」につながる危険性があります。

主張の強い保護者に振り回されないコツ

教師も保護者も共に子どもの成長を願う者同士ではありますが、あえて「保護者は必ずしも教師の味方ではない」と思うようにしていたと楠木先生は言います。だからこそ、保護者に自らの方針や思いを伝えたり、子どもたちの気になる様子を隠さずに知らせて協力を求めたりするなど、理解を得るための努力が必要なのです。その手段の一つは学級通信であり、巻末付録として学級通信文例も収録しています。また、特に主張の強い保護者への対応で疲弊してしまう先生もいるでしょう。本書では、過剰に振り回されないようにするための対処法も紹介しています。

同僚や管理職との関係をこじらせないようにする方法

教師の休職や辞職の要因として、「校内の人間関係のトラブル」が多いというのも事実です。これを根本的に解決するのは難しいですが、こじらせないようにする方法はあります。楠木先生自身も、頼りにならない管理職に追い詰められ、思い悩んだ経験があるように、よくも悪くも、管理職によって校内の体制や雰囲気は大きく変わってしまいます。それだけに、悩みを抱える先生も多いと思いますが、本書では経験に基づく対処法を提案しています。

自分を責めない思考回路を手に入れよう

学級経営にも、保護者や校内での人間関係にも、すべてのことに影響するのが自分自身の考え方だと言えるでしょう。何事も真面目で一生懸命な人、すべて自分の責任だと思い詰めてしまう人は追い込まれやすいです。責任の半分を運のせいにしてみたり、自分一人で解決するのを諦めたり、理想を求めるのをやめてみたり…、少し肩の荷を下ろして楽になるような考え方をおすすめしています。時には、自分自身に「逃げ」を許すことも必要です。
目次
はじめに

Chapter1 崩壊させない学級づくり
 1 大切にしたい学級開きの一週間
 (1)話を聞く姿勢に注目する
 (2)指示を出しっぱなしにしない
 (3)子どものこんな行動は危険信号!
 (4)子どもも教師も言葉遣いを大切に
 (5)当番の仕事は公平に
 2 「ほめる力」と「正しく叱る力」
 (1)基本はほめること
 (2)教師にとって大切なのは「正しく叱る力」
 (3)付和雷同型の子どもには特に注意
 3 子どものありのままを受け入れる
 (1)子どもに対してレッテルを貼らない
 (2)「真面目にコツコツと取り組む子ども」と「要領がよい子ども」
 (3)子どもに理想を求めすぎない
 (4)反抗は子どもの心の裏返し
 4 居心地のよい学級にするために
 (1)子どもに要求したことは、教師も必ず守る
 (2)子どもと遊ぶ時間をつくろう
 (3)どの子どもも活躍できる場面をつくる
 (4)時々静かな時間をつくる
 (5)子どもにおもねらない
 (6)真面目な子どもが損をしないように
 (7)ICT機器を活用しよう
 (8)どうしても落ち着けない子には……

Chapter2 振り回されない保護者対応
 1 保護者は教師の味方?
 (1)全員が味方でなくてもいい
 (2)保護者の信頼を得る方法
 2 大切なのは「伝え方」
 (1)まずは子ども自身が親に伝える
 (2)子どもの問題行動を伝える時は
 3 火は小さい内に消す
 (1)予防策は徹底的に
 (2)隠さずに協力要請
 4 範囲外のことには手を出さない
 5 苦手なタイプの保護者でも
 6 主張の強い保護者に振り回されない
 (1)クレームと決めつけずに話を聞く
 (2)多数派の意見かどうか判断する
 (3)自己本位な意見を退けるコツ
 7 トラブル回避のために記録を残す

Chapter3 こじらせない教師間トラブル
 1 新しい職場での関係づくり
 (1)出る杭は打たれる?
 (2)習慣になってしまう前に
 2 こんなに違う! 管理職の対応
 3 苦しい時は誰かに話そう
 4 もしパワハラにあったら
 (1)相手が同僚である場合
 (2)相手が管理職である場合

Chapter4 自分を責めない思考回路
 1 自分自身を救う考え方
 (1)すべてを自分のせいにしない―責任は半分のすすめ―
 (2)自分の中だけで答えを探さない
 (3)他人は自分の思い通りにならなくて当たり前
 (4)己を知り、理想を求めない
 (5)言葉を心の支えにする
 (6)仕事に依存しすぎない
 2 自分で自分を守る時代
 (1)トラブルに備える
 (2)「休む」準備をする

おわりに

付録 保護者の信頼を得る学級通信文例20

著者プロフィール
楠木 宏
皇學館大学教育学部非常勤講師。
三重大学教育学部非常勤講師(2023年4月より)。
元伊勢市立小俣小学校教頭。
1956年6月23日生まれ。
三重大学教育学部卒業、三重大学大学院教育学専攻科修了。
三重県公立小学校9校を経て、現職。
教育研究三重県集会 理科部会助言者。
内田洋行 教職員発明考案品 平成25年度、平成26年度 奨励賞受賞。
著書に『指示は1回-聞く力を育てるシンプルな方法-』(2016)
『「追い込む」指導-主体的な子供を育てる方法-』(2017)
『簡単! 時短!理科授業の効率アップ術』(2018)『学級づくりこれだけ!』(2019)
『教師の仕事ここまで!』(2020)がある(すべて東洋館出版社)。