GIGAスクールを成功させる教師の言葉かけ
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ページ数:144
GIGAスクールで1人1台端末を導入したものの、なかなか子どもに任せられずにうまくいかないことが多いかもしれません。本書はそんな不安を吹き飛ばす、「子どもを動かす」言葉かけの本です。ICTを活かして、最高の『学び合い』を実現させましょう!
真の個別最適な学びを実現するために
『学び合い』でお馴染みの西川純先生の最新刊は、話題のGIGAスクールを取り上げています。行政が何かを打ち出すと、教育の世界は「どうやればいいの?」とノウハウ(Know-how)を最初に問います。これは最近ではアクティブ・ラーニングのときと同じです。そしてGIGAスクール構想の場合も同じです。1人1台の言葉だけが先行して、どう使えばいいのかばかりを気にしています。世の中には数多くのGIGA本があり、それらは手軽に誰でもできるノウハウを紹介しています。しかし、それでいいのでしょうか。
本当はノウハウではなく、Know-whyを理解すべきではないでしょうか。そもそもなぜ、GIGAスクール構想が生まれたのかを理解しなければ、そのノウハウが正しいか間違っているかを判断することはできません。
真の公正に個別最適化した学習を子どもに任せた場合、基礎的・基本的学力を保障できない子はいます。いや、その子の方が多いと思います。しかし、宿題を課さない方が基礎的・基本的学力を保障できる子もいます。宿題でがんじがらめにせずとも、いや、任せた方が学力の伸びる子はいます。要は、クラスが有機的な集団になり、公正な学習を保障するために機器を使用するか否か、どのようなことを、どのような順序で、どのようなスピードで進めればいいかをわかる子と、すべての子どもがつながり学べるようになればいいのはないでしょうか。
子どもが動き出す言葉かけを!
本書は、そのようなことを実現するためにどうしたらいいかを書いています。1人1台の端末がある教室で子どもに任せた場合、どのような問題が起こるかを調査し、そのような不安一つひとつに応えています。そして、それぞれが起こる原因を明らかにして、どのような対策をすればいいかを「言葉かけ」という体裁と実践例を用いて書いています。
例えば、教師自身がタブレット端末の使い方がわからないときはどうすればいいでしょうか。そんなときは、素直に子どもたちを巻き込んでお互いに教え合うように語ればいいのです。もちろん、使い方がわからなかったりする子もいるでしょう。でも、学習の課題に立ち返り、全員で使い方を学んでいくことを意識させ、子ども同士で交流させればきっと問題は解決できます。
本書を読み終わるころには、とどのつまり、まともなクラス経営をすれば任せても大丈夫ということがおわかりになるでしょう。中学校、高校の先生だったら部活指導を思い出してください。部活指導で起こるであろうことを恐れて、がんじがらめの管理をして成果を上げられますか? 上げられません。だから、起こるであろう問題があったら、それを自己解決できる集団をつくっているはずです。それと同じです。では、始めましょう。
はじめに 1
第1章 使い始めの困りごと 7
言葉かけ1 教師自身がタブレット端末の使い方がわからないとき 8
言葉かけ2 ルールが何も決まっていないとき、どうやって決めたらよいかわからないとき 12
言葉かけ3 関係ないことをしていたとき 16
言葉かけ4 チャットを使ってこっそり会話しているとき 20
言葉かけ5 書き込みトラブルがあったとき 24
言葉かけ6 ネットの情報が多すぎて取捨選択できないとき 28
言葉かけ7 入力やタイピングスキルの差があるとき 30
言葉かけ8 低学年では活用できないと思ったとき 34
言葉かけ9 タブレット端末が1人1台ないとき 38
言葉かけ10 学校にいろいろな機種があるとき 40
言葉かけ11 タブレット端末を大事にしないとき 44
言葉かけ12 保護者からの注文・要望があったとき 48
実践例・体験談1 子どもの力を信じ、任せること 54
実践例・体験談2 『イエナプラン』☓『学び合い』☓『GIGAスクール』 60
実践例・体験談3 子どもたちによるルールづくり 64
実践例・体験談4 ICT教育を通して感じた個別最適化 68
実践例・体験談5 GIGAスクール構想を日常化の踊り場へ 70
第2章 慣れてきたときの困りごと 75
言葉かけ13 教師がタブレット端末の効果的な活用の仕方がわからないとき 76
言葉かけ14 タブレット端末を使うことが目的になっているとき 80
言葉かけ15 子ども同士の関わりが少なくなったとき 86
言葉かけ16 ICTの使用に集中してしまうとき 90
言葉かけ17 タブレット端末ばかりに頼ってしまう子がいたとき 94
言葉かけ18 使いこなせる子どもとそうでない子どもの差が出てきたとき 98
言葉かけ19 学力の向上が見えないとき 102
言葉かけ20 法律に触れるような問題が起きたとき 106
言葉かけ21 不登校の子どもがいたとき 110
言葉かけ22 管理方法について意見が分かれたとき 114
言葉かけ23 提出された課題を教師が評価しきれないとき 118
実践例・体験談6 「始めます!」 120
実践例・体験談7 「学び」を止めない 124
実践例・体験談8 変えていくこと・変えないこと 128
実践例・体験談9 人とつながるICT活用 134
おわりに 138