教師の学び方
読者対象:
出版年月:
ページ数:224
『授業の見方』の澤井先生、待望の新刊!
子供の実態から「学ぶ」
授業の本質から「学ぶ」
研究を通して学びを「深める」
「授業で勝負する」ことが私たち教師の矜持。 他者に授業を見せる勇気、周囲からの忌憚のない意見を身の肥やしにできる姿勢が、学び続ける教師としてのあなたの資質を磨く!
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なぜ、いま「教師の学び方」なのか
新しい学習指導要領が告示されて2年経ち、移行措置2年目を迎えるいま、全国の学校で講演していて感じることがあります。それは、授業のいったい「何を」改善すればよいのか(課題)、「どのように」改善すればよいのか(方法)を考えるとき、いま改めて教師としての「学び方」を再考してみる時期にきているのではないか、ということです。
「資質・能力」「カリキュラム・マネジメント」「見方・考え方」など、今回の学習指導要領にはさまざまなエッセンスが散りばめられていますが、それらを結びつけるコアが授業改善です。これは、教師個人が自らの研鑽によって実現する改善にとどまるものではありません。
教室を超え、学年として、学校として、あるいは地域の小・中学校が連携して実現していく、すなわち教師集団がチームとなって「授業観」を形成し、共有し、そこに向かって改善していく営みとしての位置づけをも含みます。この位置づけは、“校内における授業研究をいかに効率よく充実させるか"と背中合わせです。
こうした思いを強くしたのは、次のことがきっかけでした。
一昨年の夏、『授業の見方―主体的・対話的で深い学びの授業改善』を上梓するやいなや、小学校はもとより、中学校の先生方からも数多くの反響がありました。1日限りの講演依頼であったり、指定研究のための講師依頼であったり、依頼内容はさまざまですが、私にとっては驚きを禁じ得ないことでした。
『授業の見方』は、社会科を例にしながらも、どの教科であれ、授業の見方を通して何かしら授業改善のヒントが得られるように努めています。しかし、想定していた読者は、あくまでも小学校の先生方です。まさか中学校の先生方から、それほどの反響があるとは予期せぬことでした。
特に、管理職の先生方が、何とかしたいと思っている。「残念ながら自分たちの力だけではどうにもならないから来てほしい」というオファーが多かったのです。
このように、(小学校や高校と同様に)中学校においても、いままさに授業改善という変化のうねりの渦中にあるように思います。その熱意が、(たとえ時間はかかろうとも)最もよい形で結実してほしい。そんな願いを込めて本書を上梓することとしました。
本書では、特に重視しているキーワードがあります。
それは、「クエスチョン(問い)」と「プロセス(過程)」です。
特にプロセスについては、その重要性を理解してもらうために、何度も形を変えながら、繰り返し章を通じて登場させています。
例示すると、次のとおりです。
●問題解決のプロセス●本当に子供たちに必要な学習となるのかを決定づける
●思考のプロセス●子供の「反応する力」を鍛える
●見通し―振り返りのプロセス●次の学習に向かおうとする主体性を育む
●対話のプロセス●グループ活動を活性化させる
●つなぎのプロセス●子供同士が小さな結論を積み上げられるようにする
●アンサーへのプロセス●学習のまとめに辿り着く
●研究のプロセス●研究授業にチームで取り組めるようにする
いずれも共通することは、「学び」です。「学びが充実する」ということは、「学ぶプロセスが充実する」ということと同義だからです。そして、そうした学びを充実する鍵を握るのが、プロセスの質を向上させる「クエスチョン(問い)」なのです。
このことは、子供の学びだけにとどまるものではありません。教師の学びにとってもまったく同じことが言えるのです。こうした見解から、本書では、「子供の実態」から学べることは何か、「授業の本質」をつかんでどのように改善していけばよいのか、そして学んだことをどのようにして深めていけばよいのかについて考えていきたいと思います。
第1章 子供の実態から「学ぶ」
学びの段差、その正体
日本の子供は対話的な学びが苦手
子供の耳は、教師の意図とは異なる聞き取りをする
子供の学びの意外性
子供が理解するということ
子供の主体性の源泉
子供は「問い」で学びを進める
子供はなかなか課題をつかめない
1 課題は子供に届いているか
2 どうやって課題を子供に届けるか
日本の子供たちに馴染む対話
1 ゴールイメージをもたせる
2 「困る」「迷う」状況をつくる
3 「深い理解」に辿り着くための「小さな結論」をつくる
4 「小さな結論」をつなぐ
5 グループメンバーで化学反応を起こす
子供の能力は褒められて育つ
小中連携で子供の学び方をつなぐ
小中で共有すべきは[子供観]と[授業観]
第2章 授業の本質から「学ぶ」
教師としての自分の価値
自分の授業を見つめる第三者的目線
クエスチョンの研究
1 クエスチョンの研究は新しい教材研究
2 クエスチョンの研究は「子供研究」
学習のまとめの大切さ「深い学び」とは、教科目標の実現を目指す学び
目標とクエスチョンの関係
クエスチョンの構成
FAQから学ぶ
授業を構成する要素
授業における学級経営の重要性
1 教師の役割
2 教師の手の内は子供に見せてしまう
3 子供に判断基準をもたせる
4 子供たちのニーズにどのように応えるべきか
5 これらの時代に求められる集団づくり
学習評価を考える
評価が、育成を目指す「資質・能力」の実像を浮かび上がらせる
第3章 研究を通して学びを「深める」
ベテランになるほど、研究授業ができなくなる理由
自分たちのために必要な(学校の)キーワードを
三つの資質・能力に着目した研究
資質・能力ベースのカリキュラム・マネジメント
「単元を見通して」授業展開を考える
教師自身が問題解決を体験する
教科の壁を越える
小・中学校の壁を越える
校内研究のススメ︱給料がもらえて勤務時間中にできる研究の場
校内研究の実際
Q1 自分より年上のベテラン教師の協力をどうやって得ましたか?
Q2 どのようにして研究協議会を活性化させていきましたか?
Q3 研究主任にはどのようなむずかしさがありますか?
Q4「研究主任の役割」を三つのキーワードで表現してください
Q5 研究授業で自分なりに工夫していることがほかにありますか?
Q6 研究主任として、これから何を目指していきますか?
「子供の反応」が教師を変える
授業を記録する校内研究の組み立て方
1 研究主題と副主題
2 目指す子供像と授業像
3 研究テーマ設定の理由
4 研究内容
5 研究仮説
6 研究のまとめ
1年を通じた校内研究の進め方
子供の実態から「学ぶ」
授業の本質から「学ぶ」
研究を通して学びを「深める」
「授業で勝負する」ことが私たち教師の矜持。 他者に授業を見せる勇気、周囲からの忌憚のない意見を身の肥やしにできる姿勢が、学び続ける教師としてのあなたの資質を磨く!
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なぜ、いま「教師の学び方」なのか
新しい学習指導要領が告示されて2年経ち、移行措置2年目を迎えるいま、全国の学校で講演していて感じることがあります。それは、授業のいったい「何を」改善すればよいのか(課題)、「どのように」改善すればよいのか(方法)を考えるとき、いま改めて教師としての「学び方」を再考してみる時期にきているのではないか、ということです。
「資質・能力」「カリキュラム・マネジメント」「見方・考え方」など、今回の学習指導要領にはさまざまなエッセンスが散りばめられていますが、それらを結びつけるコアが授業改善です。これは、教師個人が自らの研鑽によって実現する改善にとどまるものではありません。
教室を超え、学年として、学校として、あるいは地域の小・中学校が連携して実現していく、すなわち教師集団がチームとなって「授業観」を形成し、共有し、そこに向かって改善していく営みとしての位置づけをも含みます。この位置づけは、“校内における授業研究をいかに効率よく充実させるか"と背中合わせです。
こうした思いを強くしたのは、次のことがきっかけでした。
一昨年の夏、『授業の見方―主体的・対話的で深い学びの授業改善』を上梓するやいなや、小学校はもとより、中学校の先生方からも数多くの反響がありました。1日限りの講演依頼であったり、指定研究のための講師依頼であったり、依頼内容はさまざまですが、私にとっては驚きを禁じ得ないことでした。
『授業の見方』は、社会科を例にしながらも、どの教科であれ、授業の見方を通して何かしら授業改善のヒントが得られるように努めています。しかし、想定していた読者は、あくまでも小学校の先生方です。まさか中学校の先生方から、それほどの反響があるとは予期せぬことでした。
特に、管理職の先生方が、何とかしたいと思っている。「残念ながら自分たちの力だけではどうにもならないから来てほしい」というオファーが多かったのです。
このように、(小学校や高校と同様に)中学校においても、いままさに授業改善という変化のうねりの渦中にあるように思います。その熱意が、(たとえ時間はかかろうとも)最もよい形で結実してほしい。そんな願いを込めて本書を上梓することとしました。
本書では、特に重視しているキーワードがあります。
それは、「クエスチョン(問い)」と「プロセス(過程)」です。
特にプロセスについては、その重要性を理解してもらうために、何度も形を変えながら、繰り返し章を通じて登場させています。
例示すると、次のとおりです。
●問題解決のプロセス●本当に子供たちに必要な学習となるのかを決定づける
●思考のプロセス●子供の「反応する力」を鍛える
●見通し―振り返りのプロセス●次の学習に向かおうとする主体性を育む
●対話のプロセス●グループ活動を活性化させる
●つなぎのプロセス●子供同士が小さな結論を積み上げられるようにする
●アンサーへのプロセス●学習のまとめに辿り着く
●研究のプロセス●研究授業にチームで取り組めるようにする
いずれも共通することは、「学び」です。「学びが充実する」ということは、「学ぶプロセスが充実する」ということと同義だからです。そして、そうした学びを充実する鍵を握るのが、プロセスの質を向上させる「クエスチョン(問い)」なのです。
このことは、子供の学びだけにとどまるものではありません。教師の学びにとってもまったく同じことが言えるのです。こうした見解から、本書では、「子供の実態」から学べることは何か、「授業の本質」をつかんでどのように改善していけばよいのか、そして学んだことをどのようにして深めていけばよいのかについて考えていきたいと思います。
第1章 子供の実態から「学ぶ」
学びの段差、その正体
日本の子供は対話的な学びが苦手
子供の耳は、教師の意図とは異なる聞き取りをする
子供の学びの意外性
子供が理解するということ
子供の主体性の源泉
子供は「問い」で学びを進める
子供はなかなか課題をつかめない
1 課題は子供に届いているか
2 どうやって課題を子供に届けるか
日本の子供たちに馴染む対話
1 ゴールイメージをもたせる
2 「困る」「迷う」状況をつくる
3 「深い理解」に辿り着くための「小さな結論」をつくる
4 「小さな結論」をつなぐ
5 グループメンバーで化学反応を起こす
子供の能力は褒められて育つ
小中連携で子供の学び方をつなぐ
小中で共有すべきは[子供観]と[授業観]
第2章 授業の本質から「学ぶ」
教師としての自分の価値
自分の授業を見つめる第三者的目線
クエスチョンの研究
1 クエスチョンの研究は新しい教材研究
2 クエスチョンの研究は「子供研究」
学習のまとめの大切さ「深い学び」とは、教科目標の実現を目指す学び
目標とクエスチョンの関係
クエスチョンの構成
FAQから学ぶ
授業を構成する要素
授業における学級経営の重要性
1 教師の役割
2 教師の手の内は子供に見せてしまう
3 子供に判断基準をもたせる
4 子供たちのニーズにどのように応えるべきか
5 これらの時代に求められる集団づくり
学習評価を考える
評価が、育成を目指す「資質・能力」の実像を浮かび上がらせる
第3章 研究を通して学びを「深める」
ベテランになるほど、研究授業ができなくなる理由
自分たちのために必要な(学校の)キーワードを
三つの資質・能力に着目した研究
資質・能力ベースのカリキュラム・マネジメント
「単元を見通して」授業展開を考える
教師自身が問題解決を体験する
教科の壁を越える
小・中学校の壁を越える
校内研究のススメ︱給料がもらえて勤務時間中にできる研究の場
校内研究の実際
Q1 自分より年上のベテラン教師の協力をどうやって得ましたか?
Q2 どのようにして研究協議会を活性化させていきましたか?
Q3 研究主任にはどのようなむずかしさがありますか?
Q4「研究主任の役割」を三つのキーワードで表現してください
Q5 研究授業で自分なりに工夫していることがほかにありますか?
Q6 研究主任として、これから何を目指していきますか?
「子供の反応」が教師を変える
授業を記録する校内研究の組み立て方
1 研究主題と副主題
2 目指す子供像と授業像
3 研究テーマ設定の理由
4 研究内容
5 研究仮説
6 研究のまとめ
1年を通じた校内研究の進め方