授業UD新論―UDが牽引するインクルーシブ教育システム―
読者対象:
出版年月:
ページ数:240
本書の概要
通常の学級における授業のユニバーサルデザイン(授業UD)の取り組みを軸に、これまでの日本のインクルーシブ教育の進展を整理し、現在までの成果と課題を分析し、今後インクルーシブ教育システムの構築をより確かなものにしていくための理論的枠組みを提示する。
本書からわかること
「ブーム」の後「焦点化、視覚化、共有化のことでしょ?」
特別支援教育の開始とともに発展を遂げてきた授業のユニバーサルデザイン(授業UD)。
全国で取り組みが広まり、学会が設立されるなど、「ブーム」ともいえる盛り上がりを見せてきました。
しかしその後、実践の形骸化が指摘されたり、画一化が批判されたりもしています。
授業UDの本質に立ち返る必要がありそうです。
そのためには、一見遠回りになりますが、授業UDの前提となるものをきちんと把握することが肝要です。
・「特別支援教育」と「インクルーシブ教育」は何が違うのでしょうか?
・「ユニバーサルデザイン」と「バリアフリー」、「UDL」の関係は?
・「障害」とは?
これらを押さえることで、授業UDへの理解がよりたしかなものになります。
続いて、授業UDがどのような情勢を背景に生まれ、展開されていったかをたどります。
もともとは建築関係の概念だった「UD」が教育に援用され、国内では20年ほど前から取り組みが進められるようになりました。
当初は特別支援教育にかかわる一部の先生方のみの実践だったものが、通常の学級にも広がっていきます。
そうした中で理論的枠組みも整理されていきますが、手立てばかりに注目が集まるようになり、「形骸化」や「画一化」などの批判もなされるようになります。
批判の主たるものとして、たとえば、
「本当に効果があるといえるのか」
「どんな障害にも対応できるわけではないのではないか」
「指導方法の画一化につながるのではないか」
「『授業UD』という方法自体が目的になっているのではないか」
などがあります。
しかし本書では、エビデンスに基づく研究からこれらの批判に一つひとつ応え、授業UDの効果を論証していきます。
本書の終盤では、通常の学級のみならず、通級指導教室や特別支援学級、特別支援学校が果たすべき役割についても提言しています。
また、授業UDと「個別最適な学びと協働的な学び」との関係や、ICTを活用することの可能性についても最新の知見を紹介しています。
本書をお読みになった先生方にとって、授業UDへの理解がよりたしかなものになり、インクルーシブ教育実現のための考え方を整理する一助になれば幸いです。
こんな先生におすすめ
・授業UDに関する理解を深めたい先生
・インクルーシブ教育や特別支援教育、授業UD、UDLなどについての考え方を整理した