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中学校教師1年目のための道徳の基本

赤堀 博行/著


読者対象:中学校教員・ 教員志望学生

出版年月:

ページ数:260

「どうする?1年目の道徳。」「中学校道徳の悩み」を徹底解説!

本書の概要

本書では、義務教育の仕上げを行う中学校教育において、道徳的価値を基に、よりよい生き方を探究する道徳教育の充実のための方策を分かりやすく紹介します。「道徳教育とは何か?」「 道徳教育の内容とは?」「道徳科の教材とは? 」「学習指導案の作成はどうする?」など、誰もがぶつかる「中学校道徳の悩み」を徹底的に解説します。

本書からわかること

道徳教育を振り返ってみよう

小学校、中学校でどのような道徳の時間の授業を受けてきたでしょうか。このことを、教職課程を学修する学生に問うと、「教材の登場人物の気持ちを考えた」「どうすればいじめがなくなるのかを考えた」「ゲストの人の話を聞いた」「心のノートを使って勉強した」「『私たちの道徳』を読んだ」などの回答がありますが、「覚えていない」という学生が少なくありません。国語科や社会科、算数科や数学科はどうかと尋ねると、ほとんどの学生は具体的な授業の様子を覚えています。
それでは、なぜ道徳の時間の授業の記憶がないのでしょうか。それは学生の問題ではなく、小学生、あるいは中学生のときの教師の問題であることが推測されます。残念ながら、道徳の時間の特質を押さえた授業が行われていなかったということです。

中学校道徳で何をおさえるべきなのか

教科担任制である、中学校の先生が道徳をどのように学ぶのか。やはり道徳の基礎をしっかりと学ばなくてはなりません。中学校では平成31年度から「特別の教科 道徳」(道徳科)が全面実施となり、各学校では、週1単位時間の道徳科授業を、全ての学級で、道徳科の特質を踏まえて行われるようになりました。義務教育の仕上げを行う中学校教育において、道徳的価値を基に、よりよい生き方を探究する道徳教育の充実を期待したいのです。そのためにも本書を1章から順番に学んでいくことをオススメします。

第1章 道徳教育とはどのような教育か
第2章 公教育としての道徳教育
第3章 道徳教育が目指すもの
第4章 道徳教育の内容
第5章 学校の教育活動全体で行う道徳教育の考え方
第6章 道徳教育の全体計画
第7章 学校の教育活動全体で行う道徳教育の実際
第8章 道徳科の役割と計画的・発展的な指導
第9章 道徳科の特質
第10章 道徳科で活用する教材
第11章 道徳科の多様な指導の工夫
第12章 道徳科の学習指導案の作成
第13章 道徳科授業の実際(B 相互理解、寛容の事例)
第14章 道徳科授業の実際(C 国際理解、国際貢献の事例)
第15章 道徳教育の評価

本書は、文部科学省教科調査官(当時)として道徳の特別の教科化に携わった著者が、若い経験の少ない先生を対象とした、講義型の教育書です。1章を1時間学ぶ形で、2週間、しっかりと道徳教育を学んでみませんか? きっと道徳の基礎が身に付き、日々の指導や生徒との関わりに自信がもてるようになるはずです。

こんな人におすすめ

1 新任教師で道徳の指導で悩んでいる人
2 道徳教育推進教師になったばかりの人
3 来年から中学校の教師になる予定の人

目次
第1章 道徳教育とはどのような教育か

 1 これまでの自身の道徳教育を振り返って
 2 道徳とは何か
 3 十七条憲法に見る道徳的規範
 4 我が国の道理を支えるもの
 5 道徳の意義

第2章 公教育としての道徳教育

 1 公教育とは
 2 法令に基づく学校教育
 3 教育課程と道徳教育
 4 学習指導要領に示されている道徳教育

第3章 道徳教育が目指すもの

 1 道徳教育の機会
 2 道徳教育の目標
 3 道徳教育の留意事項

第4章 道徳教育の内容

 1 道徳教育の内容
 2 内容項目の基本的な考え方
 3 4つの視点
 4 中学校における道徳科の内容項目
 5 小学校の内容項目と中学校の内容項目の系統

第5章 学校の教育活動全体で行う道徳教育の考え方

 1 中学校、高等学校の教育課程
 2 各教科等における道徳教育の視点
 3 各教科等における道徳教育の基本的な考え方
 4 各教科等における道徳教育の実際

第6章 道徳教育の全体計画

 1 道徳教育の全体計画
 2 全体計画の意義
 3 全体計画の内容

第7章 学校の教育活動全体で行う道徳教育の実際

 1 学校の重点目標の設定
 2 学校の重点内容項目の設定
 3 重点内容項目に関わる具体的な指導の機会、時期の明確化

第8章 道徳科の役割と計画的・発展的な指導

 1 学校の教育活動全体を通じて行う道徳教育を補充、深化、統合する
 2 計画的・発展的な指導

第9章 道徳科の特質

 1 道徳科の目標
 2 道徳科で行う学習の意義

第10章 道徳科で活用する教材

 1 授業の構造と教材の役割
 2 道徳授業で使用する教材
 3 道徳授業で教材を活用する理由

第11章 道徳科の多様な指導の工夫

 1 教材提示の工夫
 2 発問の工夫
 3 話合いの工夫
 4 書く活動の工夫
 5 劇化や役割演技など表現活動の工夫
 6 板書を生かす工夫
 7 説話の工夫

第12章 道徳科の学習指導案の作成

 1 学習指導案とは
 2 道徳科の学習指導案
 3 学習指導案の内容
 4 明確な指導観に基づく授業構想
 5 学習指導案例

第13章 道徳科授業の実際(B 相互理解、寛容の事例) 

 1 学習指導案
 2 授業記録

第14章 道徳科授業の実際(C 国際理解、国際貢献の事例)

 1 学習指導案
 2 授業記録

第15章 道徳教育の評価

 1 学習評価の意義
 2 学校の教育活動全体を通して行う道徳教育の評価
 3 道徳科の評価
著者プロフィール
赤堀 博行
帝京大学教育学部教授

昭和35年(1960)東京都生まれ。都内公立小学校教諭、調布市教育委員会指導主事、東京都教育庁指導部義務教育心身障害教育指導課指導主事、同統括指導主事、東京都知事本局企画調整部企画調整課調整主査(治安対策担当)、東京都教育庁指導部指導企画課統括指導主事、東京都教育庁指導部主任指導主事(教育課程・教育経営担当)、文部科学省初等中等教育局教育課程課教科調査官・国立教育政策研究所教育課程研究センター研究開発部教育課程調査官を経て、現職。教諭時代は、道徳の時間の授業実践、生徒指導に、指導主事時代は、道徳授業の地区公開講座の充実、教育課程関係資料の作成などに尽力する。この間、平成4年度文部省道徳教育推進状況調査研究協力者、平成6年度文部省小学校道徳教育推進指導資料作成協力者「うばわれた自由(ビデオ資料)」、平成14年度文部科学省道徳教育推進指導資料作成協力者「心のノートを生かした道徳教育の展開」、平成15年度文部科学省生徒指導推進指導資料作成協力者「非行防止教育実践事例集」、『小学校学習指導要領(平成29年告示)解説 特別の教科道徳編』の作成に関わる。主な著作物に『道徳教育で大切なこと』『道徳授業で大切なこと』『「特別の教科 道徳」で大切なこと』『道徳の評価で大切なこと』『道徳的価値の見方・考え方』(東洋館出版社)、『心を育てる要の道徳授業』(文溪堂)、『道徳授業の発問構成』(教育出版)などがある。