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誰でも無理なくできる!中学校理科がもっと楽しくなる1人1台端末の活用

山口 晃弘/編著


読者対象:中学校教員

出版年月:

ページ数:168

「まずは試してみよう!」そんな気持ちで始める1人1台端末の活用

本書の概要

GIGAスクール構想によって11台端末の普及が進み、理科の授業も様変わりしました。教育DXの大きな波が押し寄せてきている今、その一方で「端末の操作が苦手」「端末を活用した授業展開がよく分からない」「これまでの授業スタイルを崩したくない」などと感じている先生方もいるかもしれません。本書では、教師も生徒も楽しく取り組める便利なコンテンツを活用した事例を30例紹介しています。「まずは試してみよう!」の精神で始めてみませんか?

本書からわかること

無理なくできることから始めよう

理科の授業で端末を使うとしたら、まず観察・実験の場面が思い浮かぶのではないでしょうか。観察・実験を通して、以下のことを取り入れるだけでも効果が期待できます。

・動画や写真を撮ってみる

・写真に文字や図をかき込んでみる

・動画サイトの解説を見てみる

・スライド作成アプリで記録をとってみる

端末を使うと授業記録が残せるため、生徒は復習に生かし、教師は授業改善に生かすことができるのも大きなメリットです。

観察・実験の質を豊かにする多様なコンテンツ

理科では、再現や可視化が困難な自然事象も扱います。時間的・空間的スケールの大きな地質や天体に関する現象、直接見ることのできない電子の流れや原子・分子のふるまいなどは、生徒がつまずきやすい分野でもあるでしょう。

それらの学びの助けとなるようなコンテンツも数多く存在しています。以下のような、ソフトのインストールが必要ないWeb上のコンテンツも便利です。

Web上のシミュレーション…「XXYオシロスコープ」「PhET」「Stellarium」など

Web上のデータベース…「windy.com」「ダジック・アース」「NASA SDO衛星」など

個別最適な学びの充実を図るために

個別最適な学びにおいては、「自己決定」と「自己調整」がポイントになります。例えば、複数のドリル型学習アプリを提示して、生徒自身がアプリを選択し、自分に合った方法で個別学習に取り組むという場面も考えられます。また、自由試行がしやすいシミュレーション教材などの活用によって、個人の気付きや疑問が生まれやすくなるという効果もあるでしょう。本書では、生徒の自己決定力や自己調整力の育成につながる端末活用の方法を紹介しています。

協働的な学びの充実を図るために

協働的な学びにおいては、「相互啓発」がポイントになります。例えば、授業支援アプリを使うと、観察・実験の写真や動画、個人の考えや気付きなどをすぐさま共有することができ、グループや学級全体の話し合いがより深まります。また、役割分担をしながら観察・実験に取り組むグループ活動において、データなどを共同編集できる機能が大いに役立つでしょう。本書では、多様な意見を共有することで、より妥当な考え方を見いだす力の育成につながる端末活用の方法を紹介しています。
目次
はじめに

第1章 理科授業に欠かせない1人1台端末の活用
1 理科授業で1人1台端末を活用するためのポイント
2 無理なく始められる最初の授業例
3 よくあるトラブルとその対応例

第2章 理科授業における1人1台端末の活用例
①観察・実験の質を豊かにする活用例
1 エネルギー/1年 ブラウザで操作するオシロスコープによる音の観察
2 エネルギー/3年 端末を活用した実験結果の処理の工夫
3 エネルギー/3年 実験の見える化-違いが生まれる原因の発見-
4 粒子/1年 状態変化を粒子の運動で表すシミュレーション
5 粒子/1年 ワイヤレスセンサーを使って、見えない変化を観察しよう
6 粒子/1年 探究的な学習におけるグループごとに異なる実験の共有化
7 粒子/3年 パラパラ漫画動画で電池の仕組みを説明しよう
8 生命/1年 動物園・水族館からの情報配信を活用した動物の観察
9 生命/2年    実験結果のバラつきを考察に生かす工夫
10 生命/2年 顕微鏡観察における結果の記録と考察の共有
11 地球/1年 空間的な見方で地層の重なりと広がりを推測しよう
12 地球/2年 粒子アニメーションによる風向・風速の可視化
13 地球/3年 プラネタリウムソフトを用いた天体の疑似観測
14 地球/3年 SDO衛星の画像や動画の活用

②個別最適な学びの充実を図る活用例
1 エネルギー/1年 自分に合うドリル型学習アプリを選択しよう
2 エネルギー/3年 「力と運動」のシミュレーションから問題を見いだそう
3 粒子/3年 写真や動画で実験結果を残し、考察に生かそう
4 生命/1年 いろいろな動物の頭部を見比べて共通点と相違点を見つけよう
5 生命/2年 単細胞生物は「単純な生物」か?
6 生命/2年 オンラインクイズで生物単元の知識を習得しよう
7 生命・地球/3年 生徒による環境調査結果のデータベース化とその活用
8 全領域/全学年 テストを個別に振り返りやすくする工夫
コラム 端末活用の可能性

③協働的な学びの充実を図る活用例
1 エネルギー/1年 全反射の様子を作図で表そう
2 エネルギー/1年 花火はどこで打ち上がった?-音の速さから打ち上げ場所を見つけよう-
3 エネルギー/3年 グループレポートを作成しよう
4 粒子/1年 粉末の正体を調べよう-フローチャートを用いた計画-
5 粒子/1年 折り紙とアラザンは本物の金と銀?-実験で本物かどうか推定しよう-
6 粒子/2年 予想を共有するための Google Jamboard の活用
7 地球/2年 地球の大気の動きから天気の変化へ-ダジック・アースを活用して-
8 生命/3年 ロイロノートを活用した探究的な学び

おわりに
著者プロフィール
山口晃弘 

東京農業大学 教職・学術情報課程 教授。
元東京都公立中学校校長。中央教育審議会専門委員。文部科学省・学習指導要領等改善検討協力者。全国中学校理科教育研究会・顧問。
主な著書に、『板書で見る全単元・全時間の授業のすべて 理科 中学校1~3年』(編著、東洋館出版社、2021)、『中学校「理科の見方・考え方」を働かせる授業』(編著、東洋館出版社、2017)、『中学校理科授業を変える課題提示と発問の工夫50』(明治図書、2015)など多数。