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「1人1台」端末で特別支援教育が変わる!—すぐに取り組め,役立つアイデア123

青木高光/監修、全国特別支援学級・通級指導教室設置学校長協会/編著


読者対象:特別支援教育担当教員

出版年月:

ページ数:144

すぐにできる!学習場面に応じたICT活用のアイデアを123事例紹介!

特別支援教育での「1人1台」端末の活用

「GIGAスクール構想」により、ほぼすべての小・中学校等で1人1台端末が整備されました。通級指導教室や特別支援学級、特別支援学校においても、授業はもとより、個々の特性や教育的ニーズに応じた支援ツールとして活用が進んでいます。
しかしながら、より個に応じた指導・支援に用いるために試行錯誤している状況もあると聞いています。

どんな場面で使うとよいのか?

ICT端末や付随するアプリは、さまざまな使い方が期待できます。 しかし、そうであるがゆえに、かえって「どんな場面で使うと効果的なのか?」と迷ってしまうことも少なくありません。 そこで、まずは「学びのイノベーション事業実証研究報告書」(以下、「報告書」)を参照してみましょう。

学校におけるICTを活用した学習場面 各教科等の指導でICTを活用することは、子供たちの学習への興味・関心を高め、分かりやすい授業や「主体的・対話的で深い学び」の実現や、個に応じた指導の充実に資するもの。

学校におけるICTを活用した学習場面
出典:https://www.mext.go.jp/content/1407394_6_1.pdf

◆「一斉学習」で活用する
報告書にある「教員による教材の提示」からは、

  • 教材を拡大して提示する
  • 学習状況に応じた教材を個別に配信する
  • 文書だけでなく、音声や動画で学習内容を提示する

など、子どもたちのさまざまな「わかりやすさ」に応じた提示の方法が考えられます。

◆ 個別学習」で活用する
「個に応じる学習」は、まさに特別支援教育が得意とするところです。見え方や聞こえ方、書字や文章読解の習熟度など、それぞれの特性に応じた学習方法を選択できるようになります。
「調査活動」では、インターネットを使った情報収集や、カメラ機能を活用した観察記録など、いきいきとした学習活動が展開できそうです。
「思考を深める学習」では、シミュレーションや疑似体験によって、教科での学習はもとより、自己理解や他者理解を深めるなど、自立活動的な学習に広げていくことも考えられます。
「表現・制作」では、その困難さから描画や文章作成に消極的になっていた子どもが、自らの思いや考えを存分に表現できる機会にもなることでしょう。
また、「家庭学習」では、宿題を行うだけでなく、家庭との連携・連絡にも効果を発揮しそうです。

◆「協働学習」で活用する
「発表や話合い」では、人前で発表することに苦手意識がある場合でも、動画機能を活用して、事前に録画したもので発表する方法などを採ることができます。
「協働での意見整理」や「協働制作」では、話し合った内容を視覚化して示したり、学級全員で取り組んだりすることによって、子どもたちの納得感や達成感に寄与することでしょう。
最後の「学校の壁を越えた学習」は、交流及び共同学習はもちろんのこと、ゲストティーチャーや外部専門家による授業参加も容易になります。


子どもたちの「わかる・できる」のために

協働学習〜学校の壁を越えた学習〜 オンラインで交流会を行う③④

このように、1人1台端末を活用することで、より効果的な指導・支援の方法が増え、子どもたちの可能性も広がっていきます。
本書をご参考の一助に、子どもたちの「わかった!」「できた!」という声と笑顔を増やしていきましょう

目次
まえがき

GIGAスクール構想で特別支援教育はどう変わるか

すぐに取り組め,役立つアイデア123

A 一斉学習
●教員による教材の提示
教材を拡大して提示する①
教材を拡大して提示する②
単元の見通しをもつ
動画で学習課題をつかむ
提示された教材を基に,課題を共有する
児童生徒の意見を全員に提示する
アンケートを行い,全員で結果を確認する
写真や文章を組み合わせて記録をまとめる
視覚的支援のある教材を提示する

B 個別学習
●個に応じる学習
正しい姿勢を身に付ける
発音や聞く力を付ける
構音の練習をする
特性に応じた手段を選ぶ①
特性に応じた手段を選ぶ②
特性に応じた手段を選ぶ③
特性に応じた手段を選ぶ④
特性に応じた手段を選ぶ⑤
特性に応じた手段を選ぶ⑥
特性に応じた手段を選ぶ⑦
特性に応じた手段を選ぶ⑧
学習の習熟度を確認する
個別の目標を確認する
基本的な知識を定着させる①
基本的な知識を定着させる②
基本的な知識を定着させる③
基本的な知識を定着させる④
基本的な知識を定着させる⑤
基本的な知識を定着させる⑥
基本的な学習技能を身に付ける
学習内容を定着させる①
学習内容を定着させる②
学習内容を定着させる③
学習内容を定着させる④
学習内容を定着させる⑤
学習内容を定着させる⑥
学習内容を定着させる⑦
自学自習をしやすい環境を整える
思考を整理する
話合いの練習をする
発表の練習をする
人前で発表をする
プログラミング学習をする
●調査活動
情報収集をする
観察記録を作成する①
観察記録を作成する②
観察記録を作成する③
観察記録を作成する④
観察記録を作成する⑤
観察記録を作成する⑥
観察記録を作成する⑦
調べたことを発表する
●思考を深める学習
主体的に学習に取り組む
主体的に学習課題をつくる
学習への興味・関心を高める①
学習への興味・関心を高める②
自分の考えを書く
疑似体験をする
情報を比較して考える
情報を分類・分析する
習得状況を確認しながら学習を進める
自己理解を深める
他者理解を深める
●表現・制作
自己紹介をする
自分の思いを表現する
自分の考えを表現する
絵画を描く
動画を制作する
創作する
調べたことを発表する①
調べたことを発表する②
調べたことを発表する③
よりよい表現に向けて振り返りをする
●家庭学習
日記を書く
ドリル型教材や生活ノートに取り組む
生活習慣の形成を図る
予復習に取り組む
長期休業中の課題に取り組む

C 協働学習
●発表や話合い
調べたことを話し合う
考えたことを話し合う
自分の思いを発表する
自分の考えを発表する①
自分の考えを発表する②
活動内容を発表する
調べたことを発表する①
調べたことを発表する②
調べたことを発表する③
調べたことを発表する④
学習したことを伝え合う
習得したことを説明する
●協働での意見整理
多様な発想を共有する
多様な考えを共有する①
多様な考えを共有する②
議論を活性化させる
アイデアを整理する
話合いの内容を整理する
意見を反映させる①
意見を反映させる②
意見を反映させる③
複数の意見を集約する
●協働制作
協働で解答する
協働で課題をまとめる
協働で楽曲を制作する
協働で絵画を描く
協働で動画を作成する
協働でプログラミングする
●学校の壁を越えた学習
遠隔授業を受ける
オンラインでゲストティーチャーの話を聞く①
オンラインでゲストティーチャーの話を聞く②
オンラインでゲストティーチャーの話を聞く③
オンラインでゲストティーチャーの話を聞く④
オンラインで学習する
オンラインで交流する
オンラインで交流会を行う①
オンラインで交流会を行う②
オンラインで交流会を行う③
オンラインで交流会を行う④
オンラインで交流会を行う⑤
オンラインで交流会を行う⑥
オンラインで交流会を行う⑦
オンラインで交流会を行う⑧
オンラインで交流会を行う⑨
オンラインで共同学習を行う①
オンラインで共同学習を行う②
著者プロフィール
青木 高光(あおき たかみつ)
国立特別支援教育総合研究所主任研究員
著書に,『絵で見てわかる!視覚支援のカード・教材100』(共著,学研プラス,2021年),『今日から使える!特別支援iPad活用法』(監修,合同出版,2021年)他

全国特別支援学級・通級指導教室設置学校長協会
編著書に,『小・中学校でできる「合理的配慮」のための授業アイデア集』(2017年),『新版 「特別支援学級」と「通級による指導」ハンドブック』(2019年),『「通級による指導」における自立活動の実際』(2021年,以上いずれも東洋館出版社)他