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資質・能力を育成する科学的な探究と学習評価 中学校理科

田中 保樹・益田 裕充・小倉 恭彦・後藤 文博/編著


読者対象:中学校教員

出版年月:

ページ数:168

小学校理科の「問題解決」から中学校理科の「科学的な探究」へ

平成29年版学習指導要領では、理科で身に付けたい資質・能力として、小学校では問題解決の力、中学校では科学的に探究する力が重視されています。問題解決の過程や探究の過程を通した理科授業を、小学校4年間、中学校3年間を通して、意図的・計画的に取り組むことが求められているのです。
以下の通り、それぞれの学年で主に重視すべき学習過程は小学校・中学校で繰り返されていることが分かります。

小3 問題を見いだす
小4 予想や仮説を発想する
小5 解決の方法を発想する
小6 より妥当な考えをつくりだす
中1 問題を見いだす
中2 解決の方法を立案する
中3 探究の過程を振り返る

中学校理科でカリキュラム・マネジメントを進めるために

中学校理科では、知識や技能を習得し、科学的に探究する力を育成して、科学的に探究しようとする態度の涵養を図ることが大切です。そのために、カリキュラム・マネジメントに位置付いた授業づくりが求められます。この実践の過程は、以下のように整理することができます。
1. 平成29年版学習指導要領における理科の目標と内容から、単元等を構想する
2. 単元等において育成する資質・能力(目標)と評価規準を設定する
3. 育成する資質・能力から単元等のストーリーや文脈を考え計画を立てる
4. 単元等における指導と評価の計画を立てる
5. 「指導に生かす評価」を基に「指導と評価の一体化」を通して授業を実践する
6. 「指導に生かすとともに記録して総括に用いる評価」を行う
7. 単元等を振り返りブラッシュアップを図って次年度に備える

12の実践例から浮かび上がる授業改善の視点

本書では、「指導と評価の一体化」を通した授業実践を、第1分野・第2分野それぞれに各学年2例ずつ、計12例紹介しています。
それぞれの章で示された意欲的な実践例を通して、授業改善の視点を見いだし、実践に役立てていただけることを願っています。

目次
はじめに
特別寄稿「これから求められる中学校理科教育を考える」  

第1章 中学校理科における資質・能力の育成
第1節 小学校から中学校・高等学校までを踏まえた理科における資質・能力の育成
1.これからの社会で資する資質・能力を理科で育成する
2.小学校と高等学校の理科を踏まえ、中学校理科において科学的な探究を通して学ぶ
3.資質・能力を育成するために、科学的な探究を主体的に学ぶ
第2 節 小学校理科の問題解決から中学校・高等学校理科の科学的な探究へ
1.小学校理科の問題解決と中学校・高等学校理科の科学的な探究
2.問題解決の過程・探究の過程をつくるには
第 3 節 全国学力・学習状況調査に込められた中学校理科の授業改善へのメッセージ
1.科学的に探究し、課題を解決する学習活動の充実
2.調査問題に込められた授業改善のポイント
3.探究の過程全体を遂行できることを目指した単元及び授業の構成
第 4 節 全国学力・学習状況調査における中学生の理科の状況
1.中学校理科の目標と調査問題作成の基本的な考え
2.中学生における理科の資質・能力の現状

第2章 中学校理科におけるカリキュラム・マネジメント
第 1 節 中学校理科で育成したい資質・能力と目指す生徒像
1.探究の過程を成立させた授業によって育成される生徒像
2.「自然の事物・現象に進んで関わり、その中から問題を見いだす」授業とは
3.「考え方」を働かせて〔思考力、判断力、表現力等〕の資質・能力を育成する
4.資質・能力を育成する学習過程の成立によって育成される生徒
第 2 節 中学校理科におけるカリキュラム・マネジメントを進めるために
1.校種を超えて学習指導要領の総則と理科の理念を理解する
2.中学校だけでなく小学校と高等学校における理科の目標と内容を理解する
3.理科教育の在り方の理解を基に理科教員としてのポリシーをもって授業に臨む
4.理科の教科会として共通な認識を図り、目標の実現に向けて指導に当たる
第 3 節 カリキュラム・マネジメントに位置付いた授業づくり
1.平成 29 年版における理科の目標と内容から単元等を構想する
2.単元等において育成する資質・能力(目標)と評価規準を設定する
3.育成する資質・能力から単元等のストーリーや文脈を考え計画を立てる
4.単元等における指導と評価の計画を立てる
5.「指導に生かす評価」を基に「指導と評価の一体化」を通して授業を実践する
6.「指導に生かすとともに記録して総括に用いる評価」を行う
7.単元等を振り返りブラッシュアップを図って次年度に備える
第 4 節 理科の見方・考え方を働かせることと「主体的・対話的で深い学び」
1.「資質・能力の3つの柱」と「主体的・対話的で深い学び」
2.理科における「主体的な学び」と「対話」
3.「理科の見方・考え方」と「深い学び」
4.「理科の見方・考え方」を働かせる「深い学び」の実践例
第 5 節 学習指導要領と全国学力・学習状況調査を生かした単元の構想と授業づくり
1.「指導と評価の一体化」を意識した単元の構想
2.科学的な探究を主体的に遂行できるようになることを目指した授業づくりのポイント

第3章 資質・能力を育成する中学校理科の実際
〔第1分野〕
1. 1 年 「光の道筋を予想して規則性を見いだす」
小単元「光の反射・屈折」
2. 1 年 「あなたは物質鑑定士!?なぞの物質の正体を解明しよう?」
小単元「身の回りの物質とその性質」
3. 2 年 「無接点充電器で電流が発生する仕組みを探ろう」
小単元「電磁誘導と発電」
4. 2 年 「粒子のモデルで化学変化を表すと見えてくる世界
?見えないものを可視化して、身近な物質の化学変化を考える?」
単元「化学変化」
5. 3 年 「あなたもガリレオ!??自由落下運動の規則性を探究しよう?」
単元「運動の規則性」
6. 3 年 「電極に惹かれる粒子の秘密」
小単元「原子の成り立ちとイオン」
〔第2分野〕
7. 1 年 「『似たもの』探しがコツ!目指せ植物エキスパート!」
小単元「いろいろな生物とその共通点」(植物の分類)
8. 1 年 「"どっか?ん"だけじゃないぞ、火山噴火
    ?違いを見つけて、理由をモデル実験で検証する?」
小単元「火山活動と火成岩」
9. 2 年 「生命の営みからみえる体の神秘」
小単元「生命を維持する働き」
10. 2 年 「継続的な気象観測から空や天気の様子を深く知ろう」

単元「気象観測」
11. 3 年 「自分の分身と眺める宇宙(そら)の景色」
小単元「地球の自転と天体の動き」(日周運動と自転)
12. 3 年 「肉食動物は草食動物にとって必要なの?
    ?どの生物にも食べられない食物連鎖の最上位の生物?」
小単元「生物同士の数量のつり合い」(自然界のつり合い)

おわりに  
編著者紹介  
執筆者一覧
著者プロフィール
田中保樹
北里大学理学部准教授(教職課程センター)
1961 年横浜市生まれ。横浜国立大学大学院修了(修士(教育学))。1985 年から横浜市立中学校、横浜国立大学教育人間科学部附属横浜中学校で理科教員として勤務。2009 年から横浜市教育委員会事務局指導主事、国立教育政策研究所学力調査官・文部科学省教科調査官を経て、横浜市を早期退職。2018 年から北里大学理学部准教授として、教職課程での教育と、学習指導・学習評価や理科教育等に関する研究を推進。
[2021年8月現在]

益田裕充
群馬大学大学院教育学研究科教授
1964 年埼玉県生まれ。兵庫教育大学大学院で学位取得(博士(学校教育学))。2008 年群馬大学教育学部准教授・同大学院准教授、2012 年群馬大学教育学部教授・同大学院教授。2016 年群馬大学評議員・同教育学部副学部長、2017 年群馬大学教育学部附属中学校長、2018 年から群馬県教育委員会教育委員。2020 年日本理科教育学会副会長。中学校学習指導要領(平成 29 年告示)解説理科編の改訂に携わる。
[2021年8月現在]

小倉恭彦
文部科学省国立教育政策研究所教育課程研究センター研究開発部学力調査官
1967 年岡山県生まれ。岡山大学卒。1990 年から岡山県内公立中学校、岡山大学教育学部附属中学校で理科教員として勤務、2013 年から岡山大学教育学部附属中学校教頭を経て 2018 年より現職。科学的に探究するために必要な資質・能力を育成する中学校理科の授業デザイン及びサスティナビリティのためのキー・コンピテンシーの育成について研究。
[2021年8月現在]

後藤文博
前橋市立第六中学校校長・前文部科学省国立教育政策研究所教育課程研究センター研究開発部学力調査官
1966 年群馬県生まれ。宇都宮大学卒。1990 年から前橋市立中学校及び県内公立中学校で理科教員として勤務。2007 年から前橋市教育委員会事務局指導主事、前橋市立中学校教頭、前橋市教育委員会事務局指導係長、国立教育政策研究所学力調査官を経て、2021 年から前橋市立第六中学校校長。群馬県中学校教育研究会理科部会副会長。
[2021年8月現在]