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小学校「動き」のある道徳科授業のつくり方

磯部 一雄 杉中 康平/著


読者対象:小学校教員

出版年月:

ページ数:176

本書では、「場面の再現化」やホワイトボード・マグネットを活用した「対話・交流」によって、児童の「心」を動かす「簡単に」実践できて、効果的な「動き」のある小学校道徳科の授業手法を紹介しています。せりふや表情など、その状況を再現する活動を、短時間、その場で取り入れることで、授業者である教師が実践しやすくなるだけでなく、児童にとっても教材内容の理解が容易になり、「自分事」として考えやすい環境が整います。そのため、特に言語活動を苦手とする児童も考えやすい学習環境が整い、どの児童にも活躍の場を保障することができます。

はじめに

 私たちは、子どもたちが主体の授業、かつ心が動く授業づくりに取り組んできました。そのために体験的な学習の要素をより効果的に取り入れ、「自己の(人間としての)生き方についての考えを深めること」を目指して開発されたものが、「動き」のある授業です。
 この授業方法は、札幌市立北野台中学校の磯部と四天王寺大学の杉中が過去5年間全国各地で、小・中学生や高校生を相手に実際に授業をし、数多くの実践を通して、その有効性を検証してきました。この点については、2018年より、日本道徳教育学会、日本道徳教育方法学会、日本道徳科教育学会の場でも、その成果を発表しています。
 現在、コロナ禍によって授業に様々な制限、制約がかかっていますが、タブレット端末を活用した授業のつくり方において、その特性を生かし、いかに対話交流を活性化するかについても、私たちは「動き」のある授業が有効であることの検証を進めています。
 本書は、2020年6月に発刊した『中学校「動き」のある道徳科授業のつくり方』の小学校版です。前半の理論編では、「動き」のある授業の「授業像」を示しています。後半の実践編では、15教材の「動き」のある授業法について、すぐに授業ができるように具体的にその展開例を示しています。
 1人でも多くの先生に本書をご活用いただき、子どもたちの豊かな道徳性の育みに質するための、道徳科の授業づくりに役立てていただければ幸いです。 本書の作成に当たり、東洋館出版編集部の近藤智昭氏には、企画立案当初から労をとっていただいたことを、心より感謝申し上げます。

2021年5月
磯部 一雄

目次
「動き」のある授業とは
1 「動き」:場面再現の「動き」
2 「動き」:ホワイトボードとマグネットを活用した対話・交流の「動き」

■「動き」:場面再現の「動き」5つの授業形態
 教師代替の「動き」
 全員参加の「動き」
 グループ(ペア)の「動き」
 その場での「動き」(1人の「動き」)
 代表児童の「動き」

■「 動き」:ホワイトボードとマグネットを活用した対話・交流の「動き」の手順
  1人1枚のホワイトボードに自分の思いや考えを表現する
  ホワイトボードを黒板に掲示し、考えをオープンにする
  マグネットを置き、自己評価と相互評価を行う
  ・ 緑のマグネット:共感できる意見に置く
  ・青のマグネット:もう少し考えを聞いてみたい意見に置く


第1章 「動き」のある道徳科授業のつくり方 理論編 

 「動き」のある授業とは 6
 「動き」 場面再現の「動き」 10
 「動き」 道徳的価値の理解に基づく前理解を表出する「動き」 12
 「動き」 道徳的価値に向き合い、自己を見つめる「動き」 14
 「動き」 ホワイトボードとマグネットを活用した対話・交流の「動き」 16
 「動き」 ホワイトボードの活用 18
 「動き」 マグネットの活用 20
 「動き」のある授業で育まれる「自己評価力」 022
 GIGAスクール構想と「動き」のある授業の関連 026
 1人1台端末を活かす道徳科の授業 028
 デジタル・ホワイトボードを活用した対話 030
 デジタル・ホワイトボードを活用した実践例 032

第2章 「動き」のある道徳科授業のつくり方実践編
 1 教師代替の「動き」で学ぶ 040
 1年生 くりのみ 042
 2年生 黄色いベンチ 050
 4年生 「正直」五十円分 058

 2 代表児童の「動き」で学ぶ 066
 1年生 二わの ことり 068
 2年生 およげない りすさん 076
 3年生 よわむし太郎 084
 
 3 その場での「動き」で学ぶ 092
 1年生 ちいさな ふとん 094
 5年生 友のしょうぞう画 102
 6年生 コスモスの花 110

 4 グループ(ペア)の「動き」で学ぶ118
 3年生 まどガラスと魚 120
 4年生 雨のバスていりゅうじょで 128
 5年生 うばわれた自由 136
 6年生 おばあちゃんの指定席 144

 5 全員参加の「動き」で学ぶ 152
 5年生 バスと赤ちゃん 154
 6年生 言葉のおくり物 162

巻末付録 「動き」のタイプに合わせた教材一覧表 170
著者プロフィール
磯部 一雄 Isobe Kazuo
札幌市立北野台中学校教諭
平成25年度・文部科学省「私たちの道徳」作成協力委員、平成26年度・文部科学省「私たちの道徳」活用のための指導資料作成協力委員を経て、平成29・30年度、令和元年度に文部科学省教科用図書検定調査審議会専門委員を務める。日本道徳教育学会会員、日本道徳教育方法学会会員、日本道徳科教育学会理事。主な著書に、『中学校「動き」のある道徳科授業のつくり方』東洋館出版社(共著)がある。

杉中 康平 Suginaka Kouhei
四天王寺大学教育学部教授
堺市立中学校教諭、堺市教育委員会指導主事を経て、現職。「小学校道徳科教科書(平成29年・31年)」「中学校道徳科教科書(平成30年・令和2年)」(光村図書)編集代表。主な著書に、『中学校「動き」のある道徳科授業のつくり方』東洋館出版社(共著)、『楽しく豊かな道徳科の授業をつくる』『楽しく豊かな道徳科の授業をつくる2』ミネルヴァ書房(編者及び共著)。日本道徳教育学会理事、日本道徳教育方法学会監事、日本道徳科教育学会理事。

「動き」のある道徳科授業研究会
小学校・中学校の道徳科授業において、目標である「自己の生き方について考えを深める(小学校)」「人間としての生き方について考えを深める(中学校)」を実現するために、令和2年4月より発足。児童生徒の心が動いて、自己を見つめられる「動き」のある授業づくりの研究をしている。
[2021年8月現在]