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高校授業「学び」のつくり方

稲井 達也/著


読者対象:高等学校教員

出版年月:

ページ数:232

「カリキュラム・マネジメント」「主体的・対話的で深い学び」「見方・考え方」など、様々なキーワードが生まれた今次の学習指導要領改革。小・中学校ではすでに告示され、教育現場においては、2020年の全面実施(中学校は2021年)に向け、実践の足がかりとなる研究がスタートしています。

しかし、それは今次改革の序章にすぎません。なぜならば、高校教育改革と大学入試改革こそ、今回の教育改革の本丸だからです。たとえば、新センター試験(大学入学共通テスト)にパスする学力(能力)を生徒に身につけさせるには、高校における学びを見直す必要があるということです。すなわち、この刷新の真の目的は、高校における「授業改善」の一言に尽きます。

そこで、本書では、まず今後到来することが予期されているAI社会で通用する「汎用的な能力」の育成には何が必要なのかを論じます。新しい学びに対応した〈これからの授業〉を構想しながら、具体的に授業をどう改善していけばよいのか、その考え方と手法を明らかにします。

今後、人と人とのつながりがよりいっそう求められるようになるでしょう。それも、問わず語らず受容するような関係性ではなく、立場や意見の違いを越えてお互いに議論し、そのうえで他者と助け合い、支え合っていけるような共助の社会の実現です。

しかし、現実は、多様性を認め合える社会とは程遠い状況でもあります。この現状をいかに突破していけばよいか。おそらく、何をもって知識基盤社会の理念とするかに、その手掛かりがあるように思います。それは、「知識は他者を生かすためにある」という「教育観」です。この「教育観」を教室に置き換えれば、本書を通じて資質・能力を育成するための授業改善の視点である「主体的・対話的で深い学び」の姿も見えてくるでしょう。


カリキュラム・マネジメントを遂行するために心得ておくこと

Chapter01 これからの高校生に求められる資質・能力

 AI社会に生きる
 新時代の高校教育
 PISAに見られる子供たちの読解力
 ICT活用と情報活用能力
 新センター試験(大学入学共通テスト)が重視する能力

Chapter02 〈大学入学共通テスト〉モデル問題の背景を考える

 2016年度教育課程実施状況調査(高校)の結果から見えてくるもの
 小・中学校から高校へ―全国学力・学習状況調査の課題を引き継ぐ

Chapter03 高校に適したアクティブ・ラーニング型授業改善のポイント

 大学入学共通テストにつなげる授業改善のポイント
 アクティブ・ラーニングが目指す本質は何か
 大きな流れを取り入れた授業デザイン
 言語能力の向上は必須課題―授業に取り入れる3要素
 単元をデザインするという発想で授業を組み立てる
 単元の中心となる問い=大きな問いが主体性を引き出す
 学びの技法
 授業を通して一人で学ぶスキルを指導する

Chapter04 教科マネジメントで生徒の学力を高める

 同僚性を高める工夫
 定期試験をマイナー・チェンジ
 教科会をマイナー・チェンジ
 若手教師の指導力を養成するメンター制度

Chapter05 「主体的・対話的で深い学び」と学びを成長させる評価

 「主体的・対話的で深い学び」の位置を見直す
 「状況に埋め込まれた学習」という発想に立った授業づくり
 学習者の学びを成長させる評価
 パフォーマンス評価の例
 ルーブリック評価の活用は時と場合を考慮する

Chapter06 探究型学習の挑戦

 Section01 カリキュラム改革による学校づくり
  高校特有の風土と生徒の可能性
  北の大地の高校の授業改善
  カリキュラム・デザインと学校図書館
 Section02 読書科とICTによる学習支援
  手づくりの学校図書館
  「読書科」のカリキュラム

Chapter07 新学力向上授業実践プラン

Section01 国語科〈読解力〉 さまざまなテクストの情報を的確に読み取ったり情報同士を関連づけたりする単元構想
Section02 地理歴史、日本史〈分析力/批判的思考力/説明力・プレゼンテーション能力〉歴史総合を視野に入れた単元構想
Section03 公民、政治・経済〈批判的思考力〉批判的に思考したことを表現する単元構想
Section04 数学科〈論理的思考力〉論理的に思考したことを説明する単元構想
Section05 理科、物理〈分析力/論理的思考力/創造力〉物理基礎、理数探究基礎を視野に入れた単元構想
Section06 外国語科(英語)〈コミュニケーション力〉情報を取り出して活用し、対話的に意見や考えを交わし、目的を達成する単元構想
Section07 情報科〈デジタル読解力〉デジタル情報を活用して問題解決を図る単元構想
目次
Prologue 高校授業の「これまで」そして「これから」

 はじめに
 高校におけるカリキュラム・マネジメント
 実社会・実生活で通用する汎用的な能力とは?
 9つのリテラシーを育成する言語能力
 学習プロセスの質的改善とは?
 どのように学力観の転換を図るか?
 カリキュラム・マネジメントを遂行するために心得ておくこと

Chapter01 これからの高校生に求められる資質・能力

 AI社会に生きる
 新時代の高校教育
 PISAに見られる子供たちの読解力
 ICT活用と情報活用能力
 新センター試験(大学入学共通テスト)が重視する能力

Chapter02 〈大学入学共通テスト〉モデル問題の背景を考える

 2016年度教育課程実施状況調査(高校)の結果から見えてくるもの
 小・中学校から高校へ―全国学力・学習状況調査の課題を引き継ぐ

Chapter03 高校に適したアクティブ・ラーニング型授業改善のポイント

 大学入学共通テストにつなげる授業改善のポイント
 アクティブ・ラーニングが目指す本質は何か
 大きな流れを取り入れた授業デザイン
 言語能力の向上は必須課題―授業に取り入れる3要素
 単元をデザインするという発想で授業を組み立てる
 単元の中心となる問い=大きな問いが主体性を引き出す
 学びの技法
 授業を通して一人で学ぶスキルを指導する

Chapter04 教科マネジメントで生徒の学力を高める

 同僚性を高める工夫
 定期試験をマイナー・チェンジ
 教科会をマイナー・チェンジ
 若手教師の指導力を養成するメンター制度

Chapter05 「主体的・対話的で深い学び」と学びを成長させる評価

 「主体的・対話的で深い学び」の位置を見直す
 「状況に埋め込まれた学習」という発想に立った授業づくり
 学習者の学びを成長させる評価
 パフォーマンス評価の例
 ルーブリック評価の活用は時と場合を考慮する

Chapter06 探究型学習の挑戦

 Section01 カリキュラム改革による学校づくり
  高校特有の風土と生徒の可能性
  北の大地の高校の授業改善
  カリキュラム・デザインと学校図書館
 Section02 読書科とICTによる学習支援
  手づくりの学校図書館
  「読書科」のカリキュラム

Chapter07 新学力向上授業実践プラン

Section01 国語科〈読解力〉 さまざまなテクストの情報を的確に読み取ったり情報同士を関連づけたりする単元構想
Section02 地理歴史、日本史〈分析力/批判的思考力/説明力・プレゼンテーション能力〉歴史総合を視野に入れた単元構想
Section03 公民、政治・経済〈批判的思考力〉批判的に思考したことを表現する単元構想
Section04 数学科〈論理的思考力〉論理的に思考したことを説明する単元構想
Section05 理科、物理〈分析力/論理的思考力/創造力〉物理基礎、理数探究基礎を視野に入れた単元構想
Section06 外国語科(英語)〈コミュニケーション力〉情報を取り出して活用し、対話的に意見や考えを交わし、目的を達成する単元構想
Section07 情報科〈デジタル読解力〉デジタル情報を活用して問題解決を図る単元構想
著者プロフィール
稲井 達也
日本女子体育大学教授
1962年、東京都生まれ。専門は国語科教育、学校図書館。博士(学術)。都立高校、都立中高一貫教育校、東京都教育委員会での勤務を経て現職。東京都世田谷区立給田小学校の学校評価委員長、全国学校図書館協議会事務局参事を兼任。主な著書に『主体的・対話的で深い学びを促す中学校・高校国語科の授業デザイン』(学文社)などがある。
[2019年1月現在]